熱血ライター 神山典士がゆく

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July 25, 2016

「フレンチの王道・シェイノの流儀」読書感想文大会~発表会~

23日に開かれた出版記念食事会、盛大なうちに幕を閉じました。
参加のみなさん、ありがとうございました。

当日行われた読書感想文大会表彰式、見事優勝は宮田浩史さんとなりました。
日頃エッセイ教室での研鑽が実りましたね。ふふ。
おめでとうございます~。

今日から数日間かけて、ここで寄せられた作品をご紹介しますね。

お楽しみに。よろしくお願いします~。

まずは、会場の人気をさらったパークハイアット「梢」料理長・大江憲一郎さんから~。ワインもありがと~。


「まったく冗談じゃないよー」ノリのやつが飯食おって言うからよー、
いいよって言ったんだよ、そしたら今度は感想文書いてこいだってよ「冗談じゃないよー
」フランス料理レストラン「シェ・イノ」の井上シェフが本書いたんだって、
それ読んで書けってー言んだよ
マッタク何考えてんだか、
飯食うのに何で感想文書かなきゃなんねーだよマッタク!
ほんでもって本送ってくるかと待ってたら来やしない、
自分で買えって言うんだぜー「まったく冗談じゃないよー」
でも仕方ないから近所の本屋に買いに行ったよ、そしたら売って無い!
あちこち4軒回ってやっと買ったよ、
知り合いにも売ってる本屋聞いたりしたらダブっちゃって2冊も買っちゃったよ
「まったく冗談じゃないよー」
それに食事は会費制で金払えだって、
あげくにワイン持って来いだから「まったく冗談じゃないよー」!
まあ仕方ないから読んだよ、そしたら何だよこの本!ひどいねー
読むのに3週間も掛っちまったよ、
読んでるとワインだの料理だの話だろ、飲みたくなっちまうんだなー、
そんで飲むとどんどん飲んじゃうだろ、
だからさっぱりはかどらない、
読み終わるのに3週間もかかっちまった、
ほんでもって時間かかり過ぎで、最初の方からどんどん忘れちまって感想文書けない、
仕方ないからもっかい読んだよ、
今度は本に線なんか引いちゃったりして付箋まで張って別紙に要点まで書き出しちゃったりして、
あー俺も何やってんだかねー困ったもんだよマッタク。
でもなんだな、やはりこのオヤジも色々苦労したんだね、
中学出て大阪の染色会社だろ「河内屋食堂」の安い飯で腹膨らましたなんて、泣けてくるねー、
それから料理人だろ「カーネーショングリル」「スエヒロ」「京都ステーションホテル」か、
それからスイス行きだろ、
あっちに行った理由が「京都ステーションホテルの料理長に負けたくなかった!」って、何様の積りで居たんだかねー、よほどの負けず嫌いか天才なんだね、
でもこう言うの嫌いじゃないねー、
それから兄貴に土地売らしてスイス、ドイツ、ベルギー、フランスか、
これじゃ家族の厄介もんじゃねーの、
おいらなんかフランス座だもんなー、
まったくやってらんないよー、
しかしなんだな、やはり人との出会いが大事なんだな、
この文中に最初から最後まで出てくる「ジャン・トロワグロ」さんとの出会い、
これがこのオヤジの生涯を決めたんだね、
「異次元の料理と出会った、その全てを映像で脳裏に焼き付けた」だもんな、
ここでこの人に出会ってなかったらこのオヤジの人生も違ってたかもね、
のちにポワンだヌーベルキュイジーヌだオートキュイジーヌだの継承者だなんて無いかもね、
おいらも師匠の芸くまなく見てたけど歩き方まで似てくるもんなー、
しかしこのオヤジ副収入で食べ歩いてたんだろ、
チップ山分けにして、まあこれはいいわな、
しかし、「麻雀も強くて負けなかったから、相応の収入もありました」なんて、賭けマージャンやってたの公表して良いのかよー、まったく何考えてんだか、公安に本送っちゃうかー、
あっ駄目だ!現行犯じゃなきゃダメなんだ、
挙句に料理人から休憩時間に巻き上げてたんだろ、
「若い連中にも食べ歩きを奨めました」なんて、ほとんどオヤジに巻き上げられて、行け無いじゃないかなー
「まったく冗談じゃないよー」、
まあしかしなんだな、このトロワグロ師匠には料理だけじゃなくて麻雀も教わったんだな、ジャンさんだもんな!
はい○○さん、ゴーストありがとうございました。
「あとがき」
今、私は一冊の懐かしい本を見ている、
「山本直文著仏英=和料理用語辞典」である、
ページの最後に昭和55年9月22日と書かれている、
そう私が36年前修行時代に手にした本である、
それは山形県酒田市に開業した地方では中規模なホテルでメニューの解読用に欠かせない本である、
この本が無いと何も進まない解らない四六時中持ち歩いていた本だ、
まあそれ以前に包丁さえ握ったことのない右も左もわからない私でわメニューの意味を解読しても問題外なのだが。
井上シェフの本に出てくる「専門料理」という料理人御用達の月刊誌がある、
当時酒田の本屋では手に入らず先輩たちは皆、取り寄せで買っていた、
私も回し読みで時々見せて貰っていた、
そこには都会で活躍するフランス帰りのスーパースターシェフ達が、垢ぬけた料理と盛り付け食器使いで、自信に満ち溢れ、威厳のポーズを取っていたと記憶している、
あこがれの存在である、
「よし、この人たちを目指そう」そう心に秘めたものであったが、今私は、東京で日本料理をしている、これも運命なのであろう、
そしてこの本と出合った、当時目指したスーパースターシェフの軌跡が書いてある素晴らしい本だ!
さっ、今日も本読んで飲むかな!
あっそうだノリ、原稿料出せよ!

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王道をゆく人
~『フレンチの王道 シェ・イノの流儀』を読んで~
西山千登勢

真の料理人とはどんな人だろう。
それは長い修行の間に先輩から技を盗み、孤独に技術を磨き、独自の世界を作っていく人だと思っていた。そのために料理人は往々にして気難しく、薀蓄が多い。だから彼らの半生記は自分とは全く異なる世界の話だろうと思いこみ、一冊も読んだことがなかった。
しかし『フレンチの王道 シェ・イノの流儀』(井上旭,神山典士:2016)を読んで認識が変わった。この本から真の料理人とは、一皿一皿の食をその客のためだけに作り上げる人、そのために技に加えて人間性を磨いた人ということがわかった。俄然他の料理人の本も読みたくなった。
同書によれば、真の料理人とは料理の技術のみならず、その人間性までが周囲から尊敬されるような人。さらに料理と客の相性を瞬時に、そして緻密に計算し、その客のためだけの至高の一品を完成させることができる人。高い技術、深い人間性、緻密な計算力。これは優れた芸術家や教育者の要件と合致する。そう、真の料理人は芸術家なのだ。
×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  × 
シェ・イノのオーナーシェフ井上氏は1966年、まだヨーロッパが日本から果てしなく遠い時代に「世界一の料理人になってやる」という若者らしい意気込みをもって単身ヨーロッパに渡った。そして数々のレストランで修業をした後に、自らが夢想していた「世界一の料理人」の姿を体現したジャン・トロワグロと出会う。そしてジャンがフランス料理の真骨頂であるソースを作る姿やフロアで客と談笑する姿を「映像として」記憶した。井上氏は『味覚は二次元の平面ではなく、三次元の「立体」でなければならないと感じたから』(p.24)である。井上氏は日本に戻ってからも、自身が記憶したジャンの姿を常に映像として脳裏に蘇らせつつ、ジャンとピエールの継承者としてヌーベル・キュイジーヌの王道を進んでいく。まさに「料理に国境はない」のだ。これがシェ・イノの流儀だ。
×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  × 
本書の中で強く興味をもった点が2つある。一つはルセットを楽譜のようなものだと井上氏が理解した点である。二次元のルセットを記録するだけでは、師の表現する三次元の味覚は再現できないと考えたという。この点に自分が加わっているカトリック教会の合唱が共鳴した。無伴奏宗教曲の合唱も、各パートが楽譜通りに歌うだけでは美しいハーモニーは生まれない。呼吸や音程の微妙な揺れといった三次元の要素を互いに合わせることにより、音が引きあうように美しいうねりが生じる。そのためにはまず「イメージありき」。料理と音楽の意外な共通性に驚かされるとともに、料理を平面と立体として理解した若き日の井上氏の慧眼に私は惹かれた。
もう一つは「素材」と「お客様」の変化や差異を常に考えながら、料理をもっとおいしくする方程式を考えるという点である。私事で恐縮だが、今年1月に初めてシェ・イノを訪れた。グラン・メゾンにふさわしい雰囲気の中でいただいた料理は、すべてが自分の予想を超えたものであった。中でも「フォワグラのフラン」が印象的だった。あまりの衝撃に、つい家族にその体験を触れ回り、6月に母と共にシェ・イノを再訪した。事前にメートルの方にお願いをして「フォワグラのフラン」を入れたコースを作っていただいた。当日の料理はどれも味わい深く、頼んだグラスワインとも合うものだった。しかし執心だった「フォワグラのフラン」だけは、1月の方がよかった。何故か。自問自答した結果、問題は季節だと気づいた。1月の寒さの中ではフランの暖かさ、フォワグラの濃厚な味わいが身に染みるほどおいしかった。しかし6月は既に初夏。フランのワインソースも1月に比べてやや酸味が増しており、6月の陽気に合うように工夫されていた。それでも季節という要素は大きかった。私の季節を考慮しないオーダーがいけなかったのだ。次回からはシェ・イノが提供する、その時期に最高の素材と調理法に任せようと肝に銘じた。
私の希望を叶えるべく努力してくださったスタッフみなさんには心から感謝をしている。料理の素人である客の希望であっても大切にして、その時その時の最善を尽くす。それは磨かれた人間性がなければできることではない。これもシェ・イノの流儀なのだ。
×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ×  × 
本国フランスから離れた日本で足を踏ん張り、愚直なまでにヌーベル・キュイジーヌの王道を進む井上氏の姿を多くの若い料理人が「映像として」記憶していくことを期待する。そうやって王道は日本の地でも継承されていくのだ。フランス料理の王道がまっすぐに日本で伸び、育っていく姿を見守りたい。そのためにも私はこれからもシェ・イノへ通うだろう。毎回どんな驚きを提供してくれるかを楽しみに。なによりも井上氏と同時代に生きている幸福を噛みしめながら。


                         20016.7.10  阿部 和枝
「フレンチの大道 シェ・イノの流儀」

 今、私の時計は午前11時17分。もうすぐ予約していた美容室に到着する。今日は待ちに待った特別な日。今から想像するだけで、私の胸は高鳴る。この日がこれほどまでに待ち遠しかったのには訳がある。ある知人を介して「フレンチの大道 シェ・イノの流儀」という本を読んだからだ。
本のカバーには 「栄枯盛哀の激しい飲食業界で、不動のトップに君臨し続けてきた巨匠・井上旭、初の著書。日本のフランス料理黎明期50年第一線に立ち続け、一流の客を魅了してきた「超一流の秘密とは?」とあった。この本が私に「本物のフランス料理」を教えてくれた。「超一流」である井上旭シェフによる心躍る料理の数々がどのようにして完成されたのか得心できるものだった。
 美容院に着くと、受け付けには顔馴みの髪型が印象的若いスタイリストが笑顔で迎えてくれた。
彼女の人なつっこく、素直な所が私は好きだ。若いけれど安心して任せられる技術も持っていた。
 井上旭氏も25才でフランスのグラン・メゾン「トロワグロ」で、ソースの神様として世界中の客をとりこにしたジャントロワグロから多くを学んでいた。まさに星にたどり着いたのだから素晴らしい。
星までの道のりは、現在では考えられないものだった。当時は、多くの制約があり、為替えレートは1ドル360円。ヨーロッパまでの航空運賃がなんと24万8千円で、給料1年分以上というのだから驚きだ。語学での苦労も、想像以上のものだったに違いない。その「不可能」と思えることを「可能」にしてきたその熱い熱い情熱と才能があったからこそ、6年間での修業で得られたものは、ダイヤモンドのように堅く、永遠の光放つ宝石を手にしたのと同じだったはずである。世界が認める「トロワグロ」「マキシム」「ラセーヌ」という3星レストランでの本物の修業。特に「トロワグロ」での修業が「シェ・イノ」の基盤となっているのだから、その料理に最高峰であるオート・キュイジーヌだと自信をみって言えるのである。その料理を実際に味わい楽しめる喜び、これ以上の特別があるだろうか。
 ソースに関しては、私の想像を遥かに越えていた、その細やかさは、日々の食材によって変わるのだから、その知識といったら計り知れない。さらには加えるブイヨン・コンソメの手間のかけ方は、料理や食べる者への愛がなければ、決してできないであろう。素材の品質、分量、手間暇は、目には見え無いが、これがあるからこそ「シェ・イノ」の真価を発揮する。
 井上旭シェフの場合は、努力だけでは無く味覚を味わい取る「絶対味覚」という能力が備わっていた。料理人には、努力による技術のみならず、多くの感覚や能力が知識とともに必要であることが分かる。井上旭シェフには、それらがそなわっていた。才能で興味深かったのは常にルセットを忠実に再現するだけではなく、伝統を守ろうとする意志と新しいものを創造しようとする情熱があった。そして、そのルセットを「記録」よりも「記憶」という具合に味覚を三次元の「立体」と感じていたから恐ろしい。
 髪のセットも終わり、仕上げのネールは ピンクベージュとシャンパンゴールドの品の良い組み合わせにしてもらった。彩られるネイルの色は私の心を「シェ・イノ」へと誘う。
 今日のワインをとても楽しみにしている。フランス料理にワインは欠かすことができない。ワインの味わいや香りとソースに豊かなハーモニーを生む。ここだけの料理、その日の最上の素材で至福の一時を「シェ・イノ」では心ゆくまで楽しむことができる。井上氏の人間としての奥行きが、私達の心を掴んで離さない。まさに「超一流」の料理から生まれる特別な一日となる。
                                      完

2016 07 25 [美味伝承 サリー・ワイルとその時代] | 固定リンク

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