熱血ライター 神山典士がゆく

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February 07, 2016

ラボパーティー50周年おめでとうございます~

今年はラボ教育センターの発足50周年。
各地でお祝い行事が行われているようです。

ラボは一言で言えば英語教育団体で、物語を語り演じながら
「言葉と文化」を学習していく「運動体」です。

ぼくは小学校5年生のころからお世話になり、
10代の時期にはアメリカ・ネブラスカ州でのホームステイという
「異文化交流」を体験させてもらって、
その後の人生においてとても大きな影響を受けました。

地域を超えて全国に友人知人もたくさんできたし、
30歳のころには、ホームステイをしている10代の子供たちの姿を取材して
「ひとりだちへの旅」という本を書かせてもらいました。

当時から先生方(テューターですね)には大変お世話になっています。

こんな文章を書いてみました。

「ラボパーティー50周年おめでとうございます。
ラボの歩みは、そのまま「異文化交流」の歩みですね。

日本は1964年の東京オリンピックと70年の大阪万博を境に、ようやく世界に対して門戸を開きました。
それ以前の一般人の渡航は、訪問先に身元引受人が必要だったり、
外貨持ち出し制限(500ドル)があったりして、非常に難しかったのです。

もちろん渡航費用もべらぼうに高かった。
取材で60年代にヨーロッパに渡って料理修業をした何人かのシェフにインタビューしたことがありますが、
みな一様に「あの時代の飛行機代は24万8000円もした」と、その代金を覚えていました。
当時の月給は2万円に届かなかったということなので、
給料1年分という金額が、強烈に記憶に残っていたのだと思います。

64年の出国者数は12万7000人余り、70年は66万3000人余り、
そしてラボが最初の国際交流を実施する72年には139万2000人余り。
初めて100万人の大台にのったこの年に10代の国際交流が始まっているのですから、
当時にあって「ラボ国際交流」がいかに時代を先取りした企画であったかがわかると思います。

しかも農村地帯へのホームステイという方法を徹底してくれたことも大きかった。
家庭に入り生活を共にすることで、私たちは互いの文化を直に感じることができます。

ぼく自身74年に国際交流に参加し、帰国直後の作文にこう書いています。
「向こうでの生活を経験して、ぼくはなんだか恥ずかしくなりました」、と。

作文の書き出しには、農場の広大さや14歳で自動車を運転できることや夏休みが3カ月もあること、
宿題がないことなどへの羨ましさが綴られているのですが、
最後には「恥ずかしい」という表現が刻まれている。それはなぜか。作文はこう続きます。

「彼らにとって一番大切なことは労働です。男の子は牛を飼い、
女の子は家事の手伝いなどをして、労働するのです。
そしてその対価としてお金を得て、一年間の小遣いにしています」

つまり14歳のぼくは、当初はアメリカという「異環境」に驚いているのですが、
その生活に入り込むことで、「自立」という開拓者の血に流れる逞しい文化に触れた。
そして自分たちの文化との差異を実感した。
まさに「異文化」。
遠くネブラスカの農場で、ぼくは初めて日本を、日本人であることを考えた。
そこからぼくの「ひとりだちへの旅」は始まった―――と言っていいと思います。

さらにいえば、異文化に入り込みその面白さや魅力に触れ、記録し、
のちに文章にして多くの人に伝えるというこの作文を書くプロセスは、
そのまま今のフリーランスの文章書きであるぼくの生活そのものです。

アマゾンを訪ねて明治時代に世界を闘い歩いた前田光世=コンデ・コマの評伝を書き、
北朝鮮を旅してその体験記を書く。
そんなぼくの書き手としてのスタイルは、この作文に「最初の一歩」が刻まれている。
あの10代の一カ月の夏が、ぼくの歩みのスタートとなっている。

その意味でも、ラボには大いなる感謝を捧げなければなりません。
あの旅を体験させてくれて、本当にありがとうございました。

これからも多くの少年少女たちがこの旅を体験することを願います。
そしてそこからこの星の未来を切り拓く価値が生まれることを、祈ってやみません。

                     ノンフィクション作家・神山典士」

この国の次の50年を担う若者が、ここから生まれてくることを祈りつつ----。

2016 02 07 [] | 固定リンク

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